人気ブログランキング | 話題のタグを見る

未必の故意で共謀共同正犯成立?

そういう記事に接しました。

未必の故意でも共謀成立=最高裁が初めて明示-不法投棄で業者の有罪確定へ(Yahoo!ニュース。時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000137-jij-soci

判決文は以下。
事件番号 平成19(あ)285
事件名 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件
裁判年月日 平成19年11月14日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 決定
結果 棄却
判例集巻・号・頁

原審裁判所名 札幌高等裁判所
原審事件番号 平成18(う)142
原審裁判年月日 平成19年01月18日

判示事項
裁判要旨 未必の故意による不法投棄罪の共謀共同正犯が成立するとされた事例
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071116160102.pdf

適用罰条が書かれていないので、何条違反か不明ですが、おそらくは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)16条違反(罰則規定は25条1項14号)だと思います。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律
第16条
 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

第25条1項14号
 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者

法律上、「捨て」るという概念は、観念的なものだと思います。社長が部下に命じて、産業廃棄物を「みだりに」捨てさせた場合、実際に捨てた(ここで言う「捨てた」は日常用語)のは部下ですが、法的には社長が「捨てた」と評価できるわけであり、社長も実行共同正犯だと思います。

そうなると、本件の被告人らは、端的に「実行共同正犯」でよいと思うのですが・・・。
(未必の故意でも刑法38条の「罪を犯す意思」があるというのは、定説なので、これは問題になりません)

以上は私見による整理なので、反対意見もあろうかと思います。

by espans | 2007-11-17 14:41  

<< イルミネーション 民事訴訟における事実認定 >>