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法学セミナー633号より

法学セミナー633号
http://www.nippyo.co.jp/maga_housemi/hg0709.htm

興味深い記事。

[▼法科大学院探訪]
愛知大学法科大学院――躍進を支える実務家教員の情熱と「教育力」
加藤克佳教授・榎本修教授・互敦史教授に聞く

以下、引用(2頁以下)。
「『(第1回新司法試験での高い合格率について)入学以前から法律を長く勉強していた旧試験経験者が多く受かったという傾向はありません。むしろ旧試験の受験回数が少ない人や、1回も受けたことがない人が合格しています。旧試験経験者についても、いわば十分に磨かれていなくて、法科大学院に入ってよく勉強した人が受かっています。ここからいえるのは、やはりロースクールの教育力は間違いなく意味をもっているということです。現に昨年の合格者のほととんどは、「法科大学院の学修のおかげで合格できた」と私たちのアンケートに答えています』。
 加藤教授が重視するのは、あくまでその『教育力』である。『入学試験時点で適性試験等の点数が高くない人たちのなかにも潜在能力がある人は少なくない。しかも、個人戦では能力を開花させることができず、未だ磨かれていない人たちがいる。それをいわば団体戦で、私たちの「教育力」で開花させたい。そういう人たちが、法律家としてきちんと養成されないのは、社会にとって大きな損失だと思います』
4.積極的発想の短答式対策
 第2回の短答式試験の足きり突破率は66.7%(受験27名中18名合格。全国平均75.5%)となったことについては、『1年ごとの数字で一喜一憂することはありませんが、たしかに短答式についてはもっと配慮できる面があったと思います』。対応は早い。さっそく7月中旬に全スタッフと学生による意見交換会が行われた。学生のなかには、『マーク式特有の空気に飲まれてしまうので、本番さながらに短答式試験を解く機会を与えて欲しい』と問題演習の要望もあるが、共通しているのは、短答式だけに絞った試験対策は不要であるという点である。加藤教授は、『私たちは教学上の責任がありますから、通常の授業のなかでできることについては行います。学生の自助努力だけに任せて、学生が予備校にながれるというのは、法科大学院としては望ましいことではありません。論文式の力があれば短答式の力もあるという関係には必ずしもなく、短答式試験をクリアしないと足切りに遭ってしまうので、本学に受け入れた以上は、学生に目標を達成させてあげたい。私たちの発想は、すべて、実務に就いたらどのような能力が必要かという点であって、たとえば法律相談で、法律が改正されたことを知らない、とか、関連する判例を知らない、あやふやだということでは対応できない。短答式試験はそうした知識を確認するためのものと前向きに評価しています』」

ただし、新司法試験の短答式試験に関する考え方について、
例えば法学セミナー632号35頁における立命館大学大学院法務研究科・松宮孝明教授は、
「短答式試験には独自の勉強が必要」
として、愛知大学法科大学院関係者と若干異なった認識(「正反対」と言ってもいいかもしれません)が示されています。

松宮教授の考えの方が無難なのかもしれませんが、短答式試験についても、積極的にとらえようとする点で、私は愛知大学法科大学院関係者の見解も支持したいと思います。

※強調、アンダーラインはESP。

by espans | 2007-08-29 14:59  

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